nerdyrebelのブックレビュー

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The Ride of a Lifetime: Lessons Learned from 15 Years as CEO of the Walt Disney Company (Robert Iger)

■概要

アメリカ版リアル島耕作

Pixer, Marvel Entertainment, Lucasfilmと大型買収を立て続けに行いDisneyを巨大コンテンツ企業に変貌させたCEO、Robert Igerの自伝です。
有名人CEOというと、Steve Jobs等創業者CEOが殆どですが、Robert Igerは、後にDisneyに買収されたABCの制作現場からDisneyのCEOにまで上り詰めた叩き上げの経営者、いわば、アメリカ版リアル島耕作です。

 

 

■チラ読み 

You know, that's not the craziest idea in the world

一番印象的な話は、前任CEO の元で悪化していたSteve Jobsとの関係を回復させた上、まさかのPixer買収を行いアニメ事業を復活させた話でしょう。
一笑に付される覚悟で買収を提案したRobertにSteveは「You know, that's not the craziest idea in the world」と答えます。
ここから世紀の合併が始まった訳ですが、簡単ではありません。
取締役会の説得に熱弁を奮います。
The future of the company is right here, right now. It's in your hands.
As Disney Animation goes, so goes the company.
When animation sores, Disney sores.
We have to do this.
Our path to the future starts right here, tonight.
意訳

会社の未来が、今、ここにあります。皆さんの手の中にです。
ディズニー・アニメーションが沈めば、ディズニーも沈みます。
アニメ事業が回復する時が、我々が復活する時です。
やらなければダメです。未来への一歩が、今日、ここから始まるんです。

買収の後Steveの死までの友情等もリアルに描かれています。

If you don't innovate, you die.

その他、Marvel EntertainmentとLucasfilmの買収や、その前にDisneyのCEOに登り詰めるまでの話等、グローバル企業の壮大なビジネスドラマを追体験出来ます。
また、配信ビジネスDisney+ の立上げの内幕は、イノベーションのジレンマケーススタディとしてとても興味深いです。
先細ることが予想されるとはいえ、今利益が出ているビジネスを自ら破壊する決断は簡単ではありません。
Did we have the stomach to start cannibalizing our own still-profitable businesses in order to begin building a new model?
短期的なロスを覚悟して新しいビジネスモデルにシフトする決意を社内に示して改革を推し進めるプロセスが描かれてゆきます。
Do you want to fall prey to "Innovator's dilemma" or do you want to fight it?

 

【感想】楽しみながらビジネスが学べる回顧録

Ride of a lifetime というタイトルが示すように、Robert Igerのキャリアを追体験できるアトラクション(Ride)のような作品で、ドラマ満載の物語としても楽しめる作品です。
その中でも、マネジメントやリーダーシップについての教訓も満載で、マネージャーの教科書として読んでも面白いと思います。
私はAudible版で「聞いた」のですが、Robert自らによるナレーションは、ビジネス英語の教材としても最適だと思います。
英語のブラッシュアップをしたいビジネスパーソンにもお薦めな作品だと思います。